2024_J1_第9節・・皆さんもご存じのように、私は、ゼルビアのサッカーが、好きではないし、たまに、苦々しくさえ感じます・・でも、そんなサッカーだって、ありだと「も」思うのですよ・・(FC東京vsゼルビア、1-2)
レビュー
寄せ・・命。
そういえば、昨シーズン、「J2」のゼルビアについて、そんな表現をしたことがあった。
そうなんだよ・・
とにかく、ボールへの「寄せ」と、局面デュエルの内実に、彼らの、すべての「意識と意志パワー」が注入されつづけていたんだ。
そのテーマについて・・
ダゾン解説の太田宏介が、とても冷静な声音で、こんなニュアンスの内容を語っていた。
曰く・・
・・ゼルビアの黒田監督は、フィジカルコンタクトへの姿勢が十分じゃない選手は、決して使いませんよ・・
・・それは、試合に出られるかどうかの試金石なんです・・
・・とにかく、点を取られないサッカーの徹底に、こだわりつづけているということです・・
たしかに・・
ゼルビア選手がブチかましつづける、最高の意識と意志パワーが込められた、ハイレベルな局面デュエルの内容には、驚嘆する他ない。
もちろん、だからこそ、局面デュエルでのファールは多い。
絶対に、相手を、フリーで行かせないっ(!!)という、強烈な意志が、炸裂する。
身体全体を、ものすごいダイナミズムで駆使するフィジカルコンタクト。
まさに、魂さえ込められているかの、ごとく。
太田宏介、曰く・・
・・フィジカルコンタクトができない、やらない選手は、決して使われませんからね・・
町田ゼルビアのライバル関係における、もっとも大きな要素の一つっていうコトなんだろうね。
フムフム・・
もちろん、黒田剛ゼルビアは、決して「アンチ・フットボール」なんかじゃない。
また、「J1」に上がってからは・・
昨シーズン(J2)のような、守備ブロックを「固め」、そこから、ロングボールやムリキのドリブルによる一発カウンターを狙うってな、チト低級なチーム戦術からも、脱却している。
その背景には、新戦力が充実してきているという側面もあるんだろうね。
またそこには、ボール奪取プロセス(守備)における「最後の半歩というファクター」を、あのレベルまで、「充実」させられているという事実も、ある。
最後の半歩というファクター・・
それには、守備での「イメージング」を充実させるというニュアンスが込められている。
そう、相手のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)の流れを(次のボールの動きを!)、しっかりと予測するような、主体的なプレー姿勢のこと。
それが、相手の決定的シュートやクロスを、ギリギリのところでブロックする最後の半歩になったり、決定的ピンチの瞬間におけるカバーリングを成功させたりする。
町田ゼルビアは、その、最後の半歩というファクターという視点でも、特筆の「意識と意志パワー」に溢(あふ)れているとも感じるね。
対する、クラモフスキー東京。
攻守にわたって、クオリティーを感じさせる「主体性プレー」は魅せたけれど・・
結局は、最後のトコロで、詰め切れず、悔しい敗戦を喫することになった。
ダゾン解説の播戸竜二が、最後に、こんなコトを語っていた。
・・たしかに数字では、FC東京に分があるように見えるけれど・・
・・でも実際には、終始、ゼルビアのペースで試合が推移していたんですよ・・
私も、その評価に、アグリーだね。
もちろん・・
黒田剛のサッカーが、日本サッカーの将来を左右する、主たるベクトルになるとは、思わない。
目指すべきなのは、もちろん、美しい質実剛健サッカー・・なんだよ。
それでも、いまのゼルビアのサッカーが、何らかのトーナメント(ノックアウト)大会では、確実に、チカラを発揮するであろうコトも、確かな事実なんだよ。
今のところ、「J1」では、第6節に、ゼルビアのホームで、チカラの差を魅せつけた、ミヒャエル広島サンフレッチェの実力が、もっとも高いと思うよ。
この試合の、グラウンドの「現象面」において、両チームの「差異」を、明確に感じるのは、そんなに簡単じゃないとは思うのだけれど・・
とにかく・・
私の眼には、両チームの「コンセプトの質の差」や、「美しさの質の差」といった、プロサッカーには欠かせないファクターで、ミヒャエルのトコロが、明確に上回っていたって映っていた。
もちろん、勝つことだけ(負けないこと!)を具体的ターゲットにするチームが、リーグを闘っていても、そりゃ仕方ない。
でも、一つだけ、忘れないで欲しいコトがある。
プロサッカーには、目指すべき(!)絶対的ルール(不文律!?)がある、ということを。
それは・・
すべてのサッカー人は、「美しく勝つ」ことを志向しなきゃいけないというコト。
そうではなく・・
超絶の徹底(戦術)サッカーばかりが横行したら・・
それは、必ず、プロサッカーの衰退につながる。
そりゃ、そうだ。
そんなサッカーは、やっている選手たちにとっても、楽しいモノじゃないからね。
ということで、チョット、大袈裟かもしれないけれど・・
サッカーは、人々の生活を(精神的&物理的に)豊かにする社会的ミッションを担っているんだよ。
そのコトが、言いたかった。