2024_ オリンピック女子・・とにかく、大会を通した「チームの成長プロセス」を体感できることの幸せを、噛みしめている筆者なのであ~る・・そして、再びの、池 田太の勝負勘にも、レスペクト~ッ!!・・へへっ・・(ブラジルvsナデシコ、 1-2)
いまの気持ち・・
もちろん、嬉しい。
でも、何かサ・・
この勝利を体感しながら、すぐに、2011女子ドイツWM決勝がアタマに浮かんだ。
わたしは、フランクフルトの記者席で、その感動を体感していたけれど・・
澤穂希ナデシコが優勝したとき、大会中に知り合った、ドイツTVパーソナリティーの方から、その場で、インタビューされたんだよ。
そこで彼が・・
・・アンタは、あまり、嬉しそうじゃないけれど・・
・・なんて、質問されちゃったんだ。
その経緯は、「このコラム」を参照して欲しいけれど・・
内容的には、アメリカに、完全に主導権を握られながら、穂希ちゃんの、まさに神がかり的な「粘り」が、優勝を引き寄せたわけだ。
言いたかったコトは・・
このゲームでも、内容的には、ブラジルが主導権を握っていた・・
でも、「勝負」では、ナデシコが・・
そんな、究極の「粘り」で勝ちとった勝利というニュアンスで、2011年に、通じるモノがあったって感じていたというコトなんだろうな。
フ~~ッ・・
とにかく・・
池田太ナデシコは、スペイン戦も含め、立派な、粘り強い闘いを披露しつづけた。
決して、受け身のボール奪取プロセス(守備)ではない。
でも、「個の勝負プレー」という戦術ベクトルが強いブラジルに対して・・
局面デュエルでの「プレス」を決して弱めることなく、「そこ」で、相手ボールホルダーを抑制するイメージングに徹するナデシコ。
もちろんブラジルは、ボールがないところでのアクションの量と質に、課題をかかえている。
だから、ボールホルダーへの「効果的プレス」が効いているナデシコは、まったくといっていいほど、ウラの決定的スペースを攻略されることがない。
ただ、たまに繰り出される、カウンター気味の「個人勝負」は、除いてネ・・
そう、そんな「ワンチャンス勝負」が、炸裂しちゃうんだ。
それは、「あの」マルタからの、必殺タテパスから、はじまった。
そして、最後は、ジェニフェルに、フリーで、ミドル弾を決められてしまう。
後半11分のことだった。
そこまでのゲーム展開で採りあげたいのは・・
前半に、創りだした、二つの決定機。
それは、二つとも、田中美南が、フィニッシャーになった。
一つは、前半19分、カウンターから創りだしたゴール機会・・
GK山下杏也加からの「スーパーフィード」を受けた、まったくフリーの宮澤ひなたが、右サイドを、ドリブルで突進していく。
全体的に、攻撃へ「意識の重心」がかかりつづけていた(全体的に上がり過ぎていた!)ブラジル守備は、まったく対応できない。
そして、最後の最後まで、フリーのドリブルで突進した宮澤ひなたが、最後の瞬間・・
そう、センターゾーンを、これまたフリーで押し上げていた、田中美南の「足許」への、優しい、ラスト・グラウンダークロスを、送り込んだんだ。
まったくフリーの田中美南・・
ダイレクトの右足サイドキックで、がら空きのブラジルゴール左サイドへの「優しいパス」をイメージした。
それは、イニシアチブを握られたナデシコに訪れた、まさに、千載一遇のビッグチャンスではあった。
それまで・・
ブラジルのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)を、ものすごく効果的に「抑制」しつづけたナデシコ。
その(幻の!)ゴールは、そんな彼女たちの努力に報いる「正当な報酬」としての、カウンターゴールになるはずだったんだよ。
誰もが、あっ、先制ゴールだっ!!
でも、シュートされたボールは、無情にも、左ポストを外れていった。
顔を、両手でおおう、田中美南。
誰も、彼女を責めようとは思わない。
とにかく、そのシーンは、「シュートを決めるっ!」という、サッカーにおける「悪魔的なファクター」の恐ろしさを再認識させるモノではあった。
それほど、絶対的な決定機だったんだ。
シュート決定力という、魔物に近い、サッカー要素。
その後、田中美南は、前半ロスタイム2分に得たPKも、失敗する。
相手GKにコースを読まれただけではなく、蹴ったコースも、甘すぎた。
ここでも、顔を手でおおう、田中美南。
もちろん、いまの池田太ナデシコでのセンターフォワードは、彼女しかいない。
そして、優れたストライカーである彼女にも、こんな「悪魔のワナ」が、襲いかかる。
サッカーは、怖い。
そして後半。
誰もが、ブラジルの攻勢パワーが、増幅したって感じていたはず。
心理的な劣勢に、追い込まれるナデシコ。
もしかしたら・・
前半の「タラレバ」シーンは、心理・精神的なダメージになったかもしれない。
そして、そんなコトに思いをめぐらせていた、後半11分・・
コトが起きてしまうんだ。
そう、前述した、マルタからの必殺タテパスから、先制ゴールをブチ込まれてしまったんだよ。
そして、ナデシコの雰囲気が、最悪レベルに落ち込んでいった。
その後・・
攻勢をかけたいナデシコ監督、池田太が、何人かを交替させることで、少しはイニシアチブを回復させはしたけれど・・
結局、同点弾、逆転弾を奪うといった「雰囲気」は、醸しだせない。
そして・・
そんなネガティブな雰囲気が支配していたグラウンドに登場したのが、谷川萌々子だった。
いま、「雰囲気」という表現を使った。
それは、実は、サッカーでは、もっとも大事な「心理ファクター」なんだ。
そう、不確実な要素が満載のサッカーは、究極の「心理ボールゲーム」でもあるからね。
そして、そんなネガティブな雰囲気を「打開していく」ための、手段。
それは、もう、ボール奪取プロセス(守備)の「勢い」を倍加させるしかないんだよ。
それも、チェイス&チェック(寄せ)のダイナミズムの激増。
そして・・
その役割を、効果的に果たしたのが、「突貫小娘」谷川萌々子だったというわけだ。
彼女は、チェイス&チェック(寄せ)にエネルギーを注ぐだけじゃなく、その後の、攻撃サポートにも存在感を発揮するんだ。
たしかに、プレー自体は、まだまだ荒削り。
でも、こんなジリ貧の状況じゃ、そんな「突貫小娘のパワー」が、チームに活力を与えるんだよ。
どんどん、前へ押し上げつづけ、「前からプレス」をブチかます谷川萌々子。
そして・・
右サイドでパスを受けた谷川萌々子が、勇気をもって、ドリブル勝負をブチかます。
そのとき、切り返され、体勢を崩したブラジル選手が、手でボールの転がりを「阻止」しちゃうんだ。
もちろん、PK。
今度は、熊谷紗希が、しっかりと決めて同点。
キャプテン熊谷紗希の、メンタルの強さに、拍手っ!!
そして・・
それは、後半ロスタイム6分の出来事だった。
中盤でボールを奪った、清家貴子が、スピーディーなドリブルで突進する。
ただ、そのアクションは、戻ってきたブラジル猛女に、阻止される。
でも・・
そう、そこで、相手のミスパスが、例によって、高い位置でのチェイス&チェック(寄せ)を狙っていた谷川萌々子の足許へ、転がっていったんだよ。
あっと思った・・
そこからの「究極ドラマ」については、もう語るまでもないだろうけれど・・
そこで、谷川萌々子は、相手GKが「前へ出すぎている」ことを、瞬間的に察知していた。
そして、放たれた、ダイレクト・ロングシュート・・
それは、美しい、ホントに美しい放物線を描き、ブラジルゴールの左上角に吸い込まれていった。
そのボールの軌跡を、追いながら、谷川萌々子は、ボールがゴールに吸い込まれる前から、ガッツボーズで、仲間のもとへ駆けだしていた。
そう、彼女は、まさに「狙って」、ロングシュートをブチかましたんだ。
池田太ナデシコにとっては、まさに、起死回生の一発。
そしてわたしは、そのシュートの放物線を眺めながら、信じられない気持ちに、アタマを占拠されていた。
それは、まさに・・
そう、2011年ドイツWM決勝で、穂希ちゃんが、宮間あやが放った、まさにピンポイントのCKから、ダイレクトで「流し込んだ」同点ゴールのように・・
もう、疲れた。
これで、池田太ナデシコの、決勝トーナメント進出の可能性は、かなり大きくなったっちゅうことだ。
もちろん、グループ最終ナイジェリア戦の結果次第ではあるけれど・・
とにかく、大会を通した「チームの成長プロセス」を体感できることの幸せを、噛みしめている筆者なのであ~る。
へへっ・・