2024_J1_第33節・・リーグ優勝を争うチームと、降格リーグ真っ只の中チームの対峙・・そんな視点で、二つのゲームから、ポイントをピックしました・・(サンガvsヴィッセル、2-3)(ジュビロvsサンフレッチェ、1-2)

レビュー

まず、サンガ対ヴィッセル・・

とにかく、すごい迫力だった。

両チームの、意識と意志ポテンシャルの、レベルを超えたぶつかり合い。

両チームともに、攻守ハードワークとリスクチャレンジ機会を、選手たち一人ひとりが探しまくる、主体性プレーが充実した良いチームだ。

とはいっても・・

たしかに、ボール奪取プロセス(守備)の内実では、互角なんだろうけれど・・

それでも、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)では、やっぱり、吉田孝行ヴィッセルに、一日の長があると感じた。

その「長」のバックボーンだけれど・・

一つは、言うまでもなく、大迫勇也、武藤嘉紀、宮代大聖に代表される、個の才能。

彼らは、優れた天賦の才に恵まれているにもかかわらず、守備でサボることは、決してない。

真摯なプロサッカー選手たち・・

そこが、特筆なんだよ。

そんな彼らだから、攻守にわたる、ボールがないところでのアクションの量と質でも、特筆の「実効レベル」を魅せるのも、道理。

とにかく・・

スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での、ヴィッセル選手たちのイメージング(戦術的なピクチャー内容)に、アドバンテージがあると感じられるんだ。

それは・・

人とボールの動きの「連動性」とも、言えるかな。

選手たちが描くイメージングが、しっかりとシンクロしているんだよ。

一つひとつのプレーは、もちろん「独立」しているけれど・・

「ある瞬間」に、選手たちのイメージングが、シンクロし、彼らが、「一体」として機能するシーンが、グラウンド上に出現する。

そんな、それぞれのイメージングの「シンクロの内実」にこそ、監督の「戦術プランナーとしてのウデ」の本質が、あるっちゅうわけだ。

・・あっ、アイツが、次のパスレシーバーになる・・

・・アイツとは、すでに、事前アイコンタクトで、仕掛けイメージングは、共有できている・・

・・アイツは、パスを受けたら、「あそこ」のスペースを意識するに違いない・・

そんな、次の仕掛けプロセスへのイメージングが、どのくらい素早く正確に、そして「動的」に、チームメイトと共有できるか・・

それこそが、監督さんの「ウデの見せ所」っちゅうわけだ。

もちろん、そのレベルを高揚させる作業は、難しい。

だから時間がかかるし、うまくいくかどうかも分からない。

それでも優れたプロコーチは、失敗(=クビ!)を恐れずに、チャレンジしつづける。

そんな、勇気あふれる姿勢こそが、プロ選手たちの「心」をも、しっかりと掴み、動かすんだ。

もちろん、チョウ・キジェも、そんな、優れたプロコーチのエッセンスを、持ちあわせている。

後半のサンガが魅せたように、選手たちの「血」のなかには、積極的&攻撃的な「チョウ・キジェ・スピリット」が流れているんだよ。

後半のサンガが魅せたペースアップには、そのスピリットが凝縮されていたということだ。

それに対して、前半で二点もリードを奪ったヴィッセルだったけれど・・

後半サンガの、ものすごく積極的&攻撃的なスピリットに、押し込まれるように、二つのキャノンシュートまで、ブチ込まれちゃうんだ。

これで、ゲームが「イーブン」に戻った。

わたしは、この後半の、ゲーム展開の「変容」について・・

・・まあ、よくあるゲーム展開の変容だけれど・・

・・それにしてもヴィッセルは、やられ過ぎだろ~・・

・・とにかく、後半の中盤までは、ヴィッセルは、完璧に寝ていたんだ・・

でも・・

そう、そんな展開から、ヴィッセルが目を醒ます。

キッカケの一つは、俊足ジェアン・パトリッキの投入。

それによって、やっと、本当にやっと、ヴィッセルのサッカーが、活性化していくんだ。

そして後半38分に、ジェアン・パトリッキの、ラッキーな勝ち越しゴールが決まったっちゅう次第。

あれほど強烈な「意識と意志ポテンシャル」をブチかました、チョウ・キジェ京都サンガ・・

たしかに、彼らには不運な失点ではあったけれど・・

全体的なサッカー内容をフェアに評価したら、やっぱり、ヴィッセルの順当勝利っちゅうことになるんだろうね。

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そして、そんな全体評価は、次のジュビロ対サンフレッチェ戦にも、当てはまりそうだ。

このゲームもまた、すごい迫力の、意識と意志ポテンシャルのぶつかり合いだった。

また、そこでピックするポイントも・・

前述、サンガ対ヴィッセル戦と、似通っている。

たしかに、ジュビロは、最後の最後まで、強烈な、攻守ハードワークとリスクチャレンジ(強烈な意識と意志ポテンシャル!)を魅せつづけたけれど・・

結局は、サンフレッチェの、サッカー的な「一日の長」を、称賛しなきゃいけないってな結果に落ち着いた。

そうなんだよ・・

その「長」のバックボーンもまた、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での、イメージングの「シンクロ」というテーマに集約されるんだ。

とはいっても・・

たしかに、ミヒャエル広島サンフレッチェは、勝利を呼び込んだけれど・・

ゲーム終了間際には、こんなコトもあった。

後半ロスタイム95分には、ジュビロの、完璧なゴール機会が、生まれたんだ。

そんなシーンを観ながら、サッカーが秘めるドラマ性を、再認識させられていた。

そこでは・・

クロスを、交替出場した西久保駿介が、身体全体のエネルギーを、ボールにぶつけるように、爆発ヘッドシュートを見舞ったんだよ。

誰もが、「アッ、ゴールだ!!」と、確信したはず。

でも、サンフレッチェのスーパーGK大迫敬介が、ギリギリのところで防いで、事なきを得た。

サッカーは、最後の最後まで、何が起きるか、分からない。

お恥ずかしながら、その瞬間、わたしも、フリーズしていましたよ。

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ということで・・

この、降格リーグチームと、リーグ優勝を争うチームの(二つの)対峙では・・

たしかに、ゲーム内容的には、地力で優るチームがイニシアチブを握ったけれど・・

勝負(結果)という側面では、最後の最後まで、どちらに転ぶか分からないという、ギリギリのドラマが繰り広げられたんだ。

やっばり、不確実な要素が満載のサッカーは・・

最後は、自由に(主体的に!)プレーせざるを得ないボールゲームだよな。

そして、だからこそ・・

究極の、心理(ボール)ゲームだって、言えるんだ。

とにかく、とことん楽しませてもらった。

両ゲームの、4人のプロコーチ諸氏には、心からの称賛と感謝の拍手を、おくります。

どうも、お疲れ様でした。