The Core Column(59)_戦友カリオカ(ラモス瑠偉)との対話・・天才というテーマ・・(2019年6月10日、月曜日)
■まず、「天才」というテーマから・・
「湯浅さんは、天才っていう表現を使いすぎだよ・・」
「えっ!?」
「湯浅さんは、文章のなかで、よく、天才っていう表現を使うじゃないですか」
「うん、そうだね・・まあ、インパクトを与えるために使うことが多いかもしれないけれど・・」
「天才って、英語じゃ、ジーニアスでしょ・・それって、ホントに特別な存在のことですよね」
「そうか、ジーニアス(=Genius)か・・語源はラテン語だな・・」
「ということは、ポルトガル語でも同じような発音やスペルの単語なんだろうけれど(=Gênio)、それって、ブラジルじゃ、ホントに特別というニュアンスなのね?」
「そうなんですよ・・だから、あまりイージーには使って欲しくないんだ」と、カリオカが責めるんだ。
「まあ、オレはサ、優れた才能っていう意味合いで使っているつもりなんだけれど・・」と、わたし。
「ダメダメ・・それは、ホントに、特別な選手にしか使っちゃいけないんだよ」
「ヘ~~ッ・・カリオカは、その表現に、かなりこだわっているんだね」
「そう、サッカーの歴史でも、天才って呼べるのは、ペレとかディエゴ・マラドーナ、ロナウジーニョ、また今では、メッシ等に代表される、特別な才能プレイヤーだけなんだ」と、カリオカ。
「そうだな~~・・そのことについては、オレも、何となくアグリーだけれどサ」と、わたし。
つづけて、日本の事情についてもカリオカの意見を聞くことにした。
「ところで日本だけれど、カリオカにとっての天才は見当たらないということなの?」
「いや、一人だけ、そんな天才に近い選手がいますよ」
「それ、誰?」
「小野伸二。彼はホントにスゴイよ・・」
「へ~~・・、そうなんだ~」と反応しながら・・
「それじゃ、中村俊輔とかは、天才じゃないの?」と質問するわたし。
「俊輔には、チームメイトを効果的に活かす特別な才能があるとは思うけれど、でも、ペレやマラドーナといったタイプの天才じゃない」と、反応するカリオカ。
「ナルホド、人を活かす才能ネ~・・」と、わたし。
「その意味じゃ、遠藤保仁とか森島寛晃、また中村憲剛も、特別な才能に恵まれていますよ」と言いながら、カリオカがつづける。
「それ以外でも、釜本さん(釜本邦茂氏)のような、ストライカーとしての特別な才能もいるし、名波浩とか中田英寿に代表される、組み立ての特別な才能もいる」
「また、守備ラインやGKにだって、特別な才能がいると思うんですよ」
そこまで聞いて、ハッと気付いた。
「あっ・・ナルホド・・」
「カリオカにとって、ホンモノの天才って、自分でゴールするだけじゃなく、攻撃の最終勝負プロセスで、ゴールにつながる決定的な違いを生み出せるような特別な選手のことなんだね」
「たしかに、何もないところから、自身でゴールを叩き込んだり、高い確率でゴールのキッカケを生み出すという意味じゃ、ごく限られた才能だよな~・・」と、納得するわたし。
そこでカリオカが、ハナシを進めるんだ。
「ゴールには、特別な意味があるでしょ!?」
そんなカリオカの言葉を聞いた次の瞬間、すぐにこんな言葉が口をついた。
「だから、ゴールにつながる違いを生み出せることには、別格の価値がある!?」
「ナルホドね~・・まあ、それじゃオレも、これからは、安易に天才って呼ぶんじゃなく、特別な才能っていう表現を使うようにしようかな・・」などと、考えを改める、わたし。
「ところでサ、カリオカは、昨日のゲームで(日本vsエルサルバドル)、日本代表デビューを飾った久保建英を、どう見ているの?」
「久保も、もちろん、特別な才能に恵まれていますよ・・でも、それは、まだまだ磨かなきゃいけない才能なんだよ・・」
<つづく>
●その後、彼とは、天才のイメージ理解も含めて、久保建英についてハナシが弾むことになる・・