2024_ オリンピック決勝・・このゲームは、様々な意味合いで、私にとっても、有意義な「学習機会」だった・・最高のサッカーを魅せてゴールドに輝いたスペイン に、心からの称賛と感謝の拍手をおくります・・(フランスvsスペイン、 3-5)

すごい決勝だった。

両チームのサッカー内容も、そうだったけれど、ドラマ性も含めて、これまたサッカー史に残るゲームになったと思う。

その立ち上がり・・

そこでは、前からプレスをブチかます、ホスト国フランスが、イニシアチブを握る。

その「勢い」は、まさに、飛ぶ鳥を落とす勢い。

大会前に、日本とぶつかった親善マッチでも書いたけれど、やはり、ホスト国フランスの心理パワーは、抜きん出ているというコトなんだろうか。

彼らの強さのバックボーンは、何といっても、ボール奪取プロセス(守備)の強さ。

決勝までの両チームは・・

ゴール数こそ同じ(11ゴール)でも、失点数は、スペインの「4」に対して、フランスは、たったの「1」だったんだ。

それだけじゃなく・・

そんな強いホスト国が、前半11分に、先制ゴールまで奪ってしまう。

フランス選手たちは、そこまでのゲーム展開の内実(体感!?)も含めて、ある意味の「確信」を、深めたんじゃないだろうか・・

・・よしっ、オレたちは、いける・・

でも、そこは、不確実なファクター満載のサッカーだからネ・・

そう、そんな確信は、逆に、心に「スキ」を創りだすモノなんだよ。

その、フランス先制ゴールの7分後のこと。

ゴール前で、完璧にフリーになっていたフェルミン・ロペスに、まさにラストパスってな趣(おもむき)の、素晴らしいグラウンダークロスが送り込まれるんだ。

迷わずダイレクトで、フランスゴールの左隅へ、流し込むフェルミン・ロペス。

そのゴールを観ながら・・

・・あっ、この失点は、これまでのフランスにはなかった、あり得ないポジショニング(マーキングの)ミスだった・・

・・そして思った・・

・・フランスは、立ち上がりのゲーム展開、そして先制ゴールで、かなり、気持ちが「緩んで」しまったということか・・

とにかく、「あの強いフランス守備」の、あり得ないマーキングミスには、驚かされた。

2列目から、スルスルッて上がってくるフェルミン・ロペスを、誰も、マークしていなかったんだよ。

それだけじゃない。

フェルミン・ロペスへの「ラスト・グラウンダークロス」を決めた、アレクス・バエナも、まったくのフリーだったんだ。

そして、そのゴールから、ゲームが、「あらぬ方向」へと成長していった・・

・・と、わたしには、感じられた。

一つのゴール(フランスの先制ゴール!)が、さまざまコノテーション(言外に含蓄される意味)を内包する「ドラマ」へと、エキサイティングな物語を、綴(つづ)りはじめる!?

フムフム・・

とにかく、同点ゴールシーンでの、フランス守備が冒した「マーキングミス」は、いただけなかった。

そのコトを、もっとも切実に体感していたのは、言わずもがなの選手たち。

ところで、そのマーキングミスだけれど・・

そんなミスは、どんな瞬間でも、起きつづけているのは、確かな事実なんだ。

だから、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)では・・

常に、「できつつあるスペース」や「フリーになるはずのチームメイト」に対して、着実な「共有イメージング」を、鋭く、研ぎ澄ましておくコトが、ものすごく重要ってわけだ。

それこそ、普段のトレーニングでの、最重要テーマに据えるべき・・

まあ、いつも書いている、イメージング・シンクロの、進化&深化っちゅうコトだね。

あっと、そこからのゲーム展開・・

特に、フランスのボール奪取プロセス(守備)・・

わたしは、その機能性(忠実な連動性!?)に、微妙な「乱れ」を感じていたんだ。

それもまた、不確実なファクター満載のサッカーが、究極の「心理ボールゲーム」であることの証明でもあるわけだけれど・・

そう、そこから、スペインの、人とボールの動きが、冴えわたっていくんだよ。

逆から観れば・・

フランスのボール奪取プロセス(守備)における、忠実さや、読み、また互いの「イメージ・コンビネーション」の乱れとも言えそうだけれど・・

そしてゲームの内実が、どんどんとエキサイティングに成長していくんだ。

スペインの逆転(スーパーFK)ゴール・・スペインの追加ゴール・・

前半28分の段階で、スペインが「1-3」のリードを奪っちゃったんだよ。

後半・・

そう、サッカーが秘める、究極の心理ボールゲームという側面と、ドラマ性の、面目躍如。

ゲームを支配する、リードされているホスト国フランス・・

でもスペインは、決して、「引いて守る」なんていう受け身で消極的なディフェンスとは無縁のプレー姿勢でボールを奪い返しつづける・・

そして彼らは、「必殺」という雰囲気に充ちた危険なカウンターもふくめ、しっかりと人とボールを動かしながら、組織的に仕掛けていく。

もちろん時間の経過とともに、フランスの「勢い」が増幅していったのは、当然の流れだよね。

そして79分・・

フリーキックから(まあラッキーな!?)追いかけゴールを奪っただけじゃなく、ギリギリの後半ロスタイムに、VARで勝ちとったPKを決めて同点に追いつくんだ。

そしてゲームに、ドラマチック・エネルギーが充ち満ちていく。

突入した延長。

そこで私は、やはり、地力では、スペインに軍配が挙がるなと感じていた。

彼らが魅せつづける、人とボールの動きに、一段も二段もギアアップした、勢いが乗っていくんだよ。

わたしは、そんなゲーム展開を観ながら、フランスが、後半にブチかました同点ドラマ「まで」で、エネルギーを使い果たした・・って感じていた。

そして・・

そう、スペインが、延長に入ってからのゲーム展開の内実からすれば、まさに「順当」ともいえそうな、連動性の極みともいえる、テクニカルな決勝ゴールを挙げるんだ。

延長前半10分・・

途中出場のセルヒオ・カメリョが、それまで魅せつづけた、人とボールの動きに象徴されるスペインサッカーの存在感を、魅せつけたっちゅうわけだ。

まさに、美しい人とボールの動きを締めくくる、美しいテクニカルゴールではあった。

その後もスペインは・・

GKからの「一発カウンター」で追加ゴールを挙げ、「3-5」にまで、スコアを積み上げていった。

そして結局スペインが、内容的にも、まさに「順当」といえるゴールドメダルを勝ちとった。

わたしは、そんな強いスペインを観ながら、日本との準々決勝コラムや、EURO決勝コラムを、読み返していた。

たしかに今は・・

美しく魅力的な質実剛健サッカーという意味合いで、たしかにスペインが、世界のリーダーと言えそうだね。

とにかく・・

このゲームは、様々な意味合いで、私にとって、とても有意義な「学習機会」だった。