The Core Column(72)_テーマ「気づき」・・心理的な「環境」の整備とアップグレード・・(2022年1月25日、火曜日)
■攻守の本当の目的を達成するために・・
そう・・
それこそが、プレーするうえでの、意識と意志とイメージングが集約された、具体的な「ターゲット&モティベーション」であるべきなんだ。
なんだ、当たり前じゃネ~か・・
そんな声が聞こえてきそうだけれど・・
でも・・サ・・
その目的を、常に意識し、考えつづけること(≒意志の形成)の重要性については、世界中の、多くのレジェンドプロコーチ連中も、異口同音に、発信しつづけているんだよ。
わたしは、故ヘネス・ヴァイスヴァイラー、故リヌス・ミケルスといった、世界サッカー史に残るプロコーチから、同じニュアンスの言葉を、直接、授かった。
チト、微妙なディスカッションになるけれど・・
たとえば、ボール奪取プロセス(守備)・・
そこでのファクターは、素早い攻守の切り替え、爆発的なチェイス&チェック、カバーリング、マーキング、協力プレスへの集散、そして最終勝負の瞬間での「最後の半歩」など。
もちろん、守備のチーム戦術として、連動性をアップさせるために(!?)さまざまな「取り決め」だってあるでしょ。
でも・・
そこで、本当に大事な発想は・・
そんな「カタチ」に、具体的なアクションイメージングが、左右され「過ぎない」ことなんだよ。
ボール奪取プロセス(守備)のコラムでも書いたけれど・・
たしかに、「連動性」という視点じゃ、互いのイメージングを、ある程度シンクロさせるコトには意義がある。
でも、そのカタチ・イメージングに引っ張られ「過ぎ」たら・・
早すぎるタイミングで、次の予測アクションに入ってしまうとか、取り返しのつかないアンバランス状況に陥ってしまうコトが多いんだ。
だからこそ・・
グループによる局面プレーでは、瞬間、瞬間で、それぞれの判断を「柔軟」に対応させていかなきゃいけないんだ。
その絶対ベースになるのが・・
そう、カタチじゃなく、自由で解放された「柔軟な主体性プレー」っちゅうわけだ。
要は・・
常に、先、その先の展開を、しっかりと考えつづける(予測する)のが肝心ということだ。
そして・・
その予測(≒気づき)の思考プロセスにおいて、もっとも大事なのが、ボールを奪い返すという守備の目的を、主体的に、そして強烈に意識しつづけるコトなんだよ。
■さて、ではどうやって、選手たちの(考える)主体性プレー姿勢をアップさせるのか?
まず、何といっても・・
プレイヤーの主体的な工夫をうながすために(!)・・
個々の感性を「尊重」するのが大前提という基本姿勢を崩しちゃいけない・・という視点。
だから監督・コーチには、そのプロセスで、かなりの忍耐が求められる!?
まあ、そういうことだね。
ミレニアムあたりで、ドイツが(そのサッカーイメージが!)再生・再構築されたプロセスを体感している筆者だから・・
そのプロセスにおいて、ドイツの猛者プロコーチ連中が、オーバーコーチングを反省させられ、強く、忍耐を迫られた事実を知っているんだ。
その経緯については、「このコラム」も、ご参照あれ。
フ~~ッ・・
あっと、選手たちの、考えつづける主体性プレーの高揚というテーマだった。
とにかく・・
そのプロセスでは、選手個々の「考える文化」を活性化する・・という大仰なミッションイメージをもたなきゃいけないんだよ。
そのために・・
たしかに、トレーニング方法を工夫するのも、とても効果的な手段かもしれない。
例えば・・
そう、「あの」イビツァ・オシムによるトレーニング方法。
それについては、いくつかの本が上梓されているから参考にして欲しい。
そこでのアイデア骨子は、さまざまな「ルール」を設けることで、選手たち自身が、考え、工夫しつづけるという「姿勢」を活性化することだったと思う。
そう、選手たち自身が、とことん楽しむためにね。
要は・・
常に考えつづけ、自分なりの工夫を展開していくというプレー姿勢を、着実に育成していくのが、主要テーマになるっちゅうこと。
攻守にわたる「気づき」の内実をアップさせるためにね。
もちろん、言うは易く行うは難しだけれど、それでも、粘り強く、そんな「心理ベース」を育成していくコトこそが、成果を生み出すんだよ。
もちろん監督コーチも、常に、選手たち自身で「工夫」することを要求しつづける。
そうそう・・
言葉による要求は、簡単なコトじゃなかった・・
■「刺激」という根源テーマ・・
その、主体性プレー活性化の心理メカニズムを整備するプロセスでは・・
やっぱり、誰がグラウンドで選手たちにトライ&チャレンジさせるのか・・というテーマが、もっとも根源的なファクターになってくるよね。
そう、監督さんのウデの内実。
要は、心理マネージメントのことさ。
もちろん、選手たちのインテリジェンスや個性(パーソナリティー)、また、瞬間的に変化しつづける様々な状況などによって、どのようなアプローチが効果的なのかは、千差万別。
だからこそ、心理マネージメントというテーマは、深遠で、とても複雑なのさ。
もちろん優れた監督は、そこで、誰にも真似できない最高のパフォーマンスを発揮する。
たとえば・・
大声での𠮟咤や脅し(!?)が必要な場面もあるだろうし、ゆっくりと静かに(ロジカルに!?)言いきかせるやり方が効果的なコトもある。
どんなやり方にせよ・・
そこでの目的は、選手たちが、自ら考え、工夫したい(!)とモティベートされ、実際にチャレンジしていこうとする意志を高揚させることなんだ。
たとえば、イビツァ・オシム・・
当時のジェフ・ユナイテッド市原でプレーしたある選手が、こんなエピソードを語っていたっけ。
「ホント、そのとき、怒りで、アタマに血がのぼっちゃいましたよ・・」
あるとき・・
イビツァのトレーニングテーマに外れたプレーをしたその選手へ、イビツァが寄っていき、こんなコトを言ったのだそうな。
「オマエは、このトレーニングの目的をしっかりと理解しているよな・・にもかかわらず、どうして、あそこで、あんなプレーをしたんだ?」
それに対して、その選手が、ピントの外れたコトを言ったらしい。
その言葉に対してイビツァが・・
ジッと、その選手の目をのぞき込み、しばらくして、ため息まじりに目をそらしながら、「こりゃ、ダメだ・・」ってな雰囲気を振りまいたんだそうな。
そりゃ、これ以上ないほど強烈な「刺激」じゃありませんか。
「そうなんですよ・・だから、アタマにきた・・でも、そこから、目が醒めたように考えるようなったし、イビツァさんの目的を強烈に意識するようになったんです」
「それは、ボクにとって、ものすごく貴重な体感でした・・」
それ以降その選手は、イビツァの信頼を勝ち取ることでチームの主力級にまで上り詰め、長く活躍した。
まあ、そんな素晴らしい刺激には、そうそう出会えないわけだけれど・・
ということで次回は・・
「気づき」の内実をアップグレードするための心理的な「環境」の整備という視点で、オートマティゼーション、またクレバーに編集されたビデオの活用といったテーマ「も」扱おうと思います。
では、また・・