2024_EURO_15・・ドイツは、強い(美しい!)スペインに対し、フィジカル、テクニック、タクティカル、サイコロジカル、神様エッセンスといった全てのファクターで、勝るとも劣らない、ホントに立派な、美しい質実剛健サッカーを魅せた・・わたしは、サッカー的な第二の故郷でもあるドイツに対して、心から感謝していた・・(スペインvsドイツ、2-1)
実はわたし・・
1988年、西ドイツで行われた欧州選手権を、現地で体感したんですよ。
その1年後に、東西ドイツが、統一を果たすんだ。
そんな、西ドイツが・・
準決勝で、オランダに敗れてしまった。
私はその悔しい敗戦を、ハンブルクのフォルクス・パルク・シュタディオンで、しっかりと体感した。
もちろん、その後の、ソ連対オランダの、ミュンヘンでの決勝も、観戦した。
そう、「あの」マルコ・ファン・バステンの、歴史に残る、美しすぎるダイレクトボレーシュートも、目の前で「体感」したんだ。
ソ連GKが、「あの」スーパーGKダサエフだったコトも、記憶に残っている。
そのオランダの勝利は、当時のオランダ代表監督リヌス・ミケルスにとっても、唯一の、オランダ代表としての、ビッグタイトルだった。
当時のことを、後に、私のマスターとして親しい関係になった、故リヌス・ミケルスは・・
・・アレは、本当に嬉しかったし、感動したよ・・
そう、個人的に、話してくれたっけ。
ところで、わたし・・
決勝が終了したあとも、スタジアムに残ったんだ(一般チケットだった)。
そして、オランダファンとともに、「ウィー・アー・ザ・チャンピオン・・・」を、歌いつづけたコトを、覚えている。
観客席で親しくなったオランダファンの方(たしか会計士と言っていた)と、肩を組みながら・・
当時は、まだ、リヌス・ミケルスと親しかったわけじゃないけれど・・
とにかく、仕事をオフにして、ミュンヘンまで駆けつけた、その会計士の方と、感動を分かち合うのは、一生の思い出になるはずだと・・
西ドイツを破ったオランダに対する敬意も含めて、「ウィー・アー・ザ・チャンピオン・・」を、歌い続けたのさ。
あっと、言いたかったのは・・
今日のゲームで、ドイツがスペインに負けた後、すぐに、当時の記憶が蘇ったコトだったんだよ。
たしかに、当時は、西ドイツが(準決勝で)負けたことに対する悔しさはあったけれど、それでも、オランダサッカーへのシンパシーも強かったから、自然と、感動をシェアできた・・とかね。
そして、すぐに、アタマのなかは、現実に戻った。
そして、素晴らしく美しい質実剛健サッカーを魅せつづけたスペインに対する、オメデトウの感性も、湧き上がってきたモノさ。
そのコトも、言いたかった。
フ~~ッ・・
さて・・
この、世界最高峰の、極限テンション(緊張感)マッチについてだけれど・・
まず、何といっても・・
世界最高の「実力チーム」同士の、攻守にわたって秘術の限りを尽くしたスーパーマッチだったという事実を、反芻しよう。
わたしは、瞬間フリーズを繰り返しながらも、堪能していた。
そして、こんな思いにも、囚われていた・・
・・サッカーでは、瞬間的に、状況が変化しつづけるんだよ・・
・・その状況変化に、何か、戦術イメージング的なバックボーン(要は、机上の空論的なカタチ論!?)を、「はめ込もう」とするのは、愚の骨頂だ・・
そんな思いにかられていたんだ。
もちろん・・
そう、基本的な、チーム&グループ戦術的な「カタチ・イメージング」はあるけれど・・
それでも、選手たちは、そんな「カタチ」に合わせようと、イメージングし、プレーをしているわけじゃない。
彼らは・・
常に、攻守の目的を意識しながら、ポジションニングを変え、瞬間的に、「戦術的にやらなければならないコト」を、「主体的にっ!!」イメージングしつづけているんだよ。
あっ、分かりにくい!?
よくいるじゃない、「トライアングルを作れ~っ!」とか、がなっているコーチ。
選手たちは、「トライアングルを作ろう」としてプレーしているわけじゃないんだ。
もしそうならば、まさに、狂気の沙汰じゃないか。
選手たちは、あくまでも、スペースを突いていこうとしているんだよ。
そして、うまくコトが運べた結果、トライアングルに「なっちゃってる」っちゅうコトなんだよ。
そう、瞬間、瞬間で、変化をつづけるサッカーでは・・
それぞれの瞬間に、常に、攻守の「目的」を達成するために、何をするのがいいか、考え、判断し、勇気をもってアクションしているわけだ。
そう・・
いま(そして)次の瞬間に、ボールを奪い返すために(味方にボールを奪い返させるためにっ!!)何をするのがベストか、考える・・
いま(そして)次の瞬間に、スペースを突いていくために(味方にスペースを突いていかせるためにっ!!)何をするのがベストか、考える・・
そして、決断し、勇気をもってアクションしていく。
その繰り返しなんだ。
選手たちは、その瞬間、瞬間で、植えつけられている(!?)戦術的なカタチを、少しは意識しながらも、結局は、主体的な(!?)判断と決断で、アクションしていかなきゃいけないんだ。
あっと、ちょっと、リキが入ってしまった。
ということで・・
たとえば、ボール奪取プロセス(守備)では・・
ドイツ&スペスインの両チーム選手は、ものすごく鋭敏な「感性」をもって、次、その次の状況変化を、イメージングしながら(予測しながら)、対応しつづける。
そう、そこじゃ、「最後の半歩というファクター」が、光り輝きつづけるっちゅうわけだ。
そう、予測や読みを繰り返す、主体性プレー・・ね。
両チームともに、この(最後の半歩の!)予測能力が、すばらしい。
世界最高の実力を備えた、ボール奪取プロセス(守備)。
だからこそ、両チームともに、そう簡単には、ゴール機会を創りだせない。
ラストバス(クロス)にしても、ドリブル勝負にしても・・
そして・・まあだからこそ、両チームともに、ミドル弾や、一発クロスからのヘディング、そして・・
スーパースター「ワントップ」への、ロング・タテパスから、そのワントップの「個の勝負プレー」が、ギリギリのゴール機会を創りだしちゃうってなわけだ。
スペインでは、モラータ、ドイツでは、ハバーツ・・
そんな緊迫したゲーム展開がつづくなか、まさに「エッ!」ってな感じの唐突さで、スペインの先制ゴールが決まってしまう。
それは、最後方から、フリーで飛び出してきた、ダニ・オネモが、16歳、ラミン・ヤマルからの、ラスト・グラウンダー・クロスを、ダイレクトで叩いたゴールだった。
それまでの、ものすごく錯綜した「戦術マッチ」から考えれば、まさに、「唐突の極み」ってな、先制ゴールではあった。
その後は・・
もう、「行く」しかなくなったドイツが、77分に、ヴィルツがブチかましたポスト直撃シュートなど、何度も、ゴール機会を創りだす。
でも、決められない・・
そして、ゲーム残り1分というタイミングでコトが起きた。
流れのなかの展開から、左サイドのミッテルシュミットがボールをもった。
同時に、左サイドバックのキャプテン、ヨシュア・キミッヒが、決定的スペースへ、スプリント。
そして、その「右サイド・ポスト際」の決定的スペースへ、ミッテルシュミットが、サイドチェンジのクロスボールを送るんだ。
ものすごく高く飛び上がった、キミッヒ。
そのヘディングから放たれたボールが、猫の額のようなスペースで、フリーになっていたヴィルツの足許へ飛んでいった。
そしてヴィルツは・・
迷わず、右足を、ダイレクトで振り抜いたんだ。
そのシュートが、スペインゴールの左ポスト内側を叩いたっちゅう同点ゴールではあった。
その後はいった延長でも、最高レベルのエキサイティング勝負マッチが、繰り広げられた。
そう、互いに攻め合う、最高テンションの勝負マッチ。
そのなかでドイツが、何度も、ゴール機会を創りだしたけれど・・
最後は、スペインの、一発クロスからのヘディングで、やられてしまう。
まあ、その間にも、いろいろとあったけれど、とにかくタイムアップの笛が吹かれた後は、もう得られるモノは、何もない。
レフェリーを務めた、イングランド、アンソニー・テイラーさんは、ホントに素晴らしい笛を吹いた。
同じサッカー仲間として、両チームだけじゃなく、テイラーさんに対しても、称賛と感謝の拍手をおくります。
最後に、ドイツ・・
「あの」強烈に強い(美しい!)スペインに対し・・
フィジカル、テクニカル、タクティカル、サイコロジカル、神様エッセンス・・
その全てで、まったく勝るとも劣らない、ホントに立派な、美しい質実剛健サッカーを魅せた。
わたしは、サッカー的な第二の故郷でもあるドイツに対して、心から感謝していた。